入れ歯でお悩みの方へ

入れ歯の良しあし

8020運動と現実

イラスト

皆さんは、8020運動をご存じですか?簡単に言うと、80歳になったときに、自分の歯が20本残っているようにしようという運動のことです。
平成17年の歯科疾患実態調査によると、80歳で20本以上自分の歯を保有する人の割合は、20%を超えていることがわかりました。
しかし、現実に80歳で残っている歯の平均本数は約9本、19本の歯が失われているのです。
20歳台をピークに、28本あった歯は、徐々に少なくなり、50歳で3本、60歳で7本、70歳で13本失われているようです。
これでは、まだまだ入れ歯のお世話になる人たちがたくさんいることがわかります。しかも、そのうち半数以上の人たちが、合わない入れ歯に悩んでいると聞きますから、大問題なのです。

そもそも入れ歯ってなに?

普通、入れ歯と呼ばれている装置は、取り外しのできで歯ぐきのような床(しょう)のついたもののことです。大学には、その入れ歯の研究と教育のためだけにひとつの専門学講座や教室があり、それだけ、専門性が必要で、難しい分野と言えるのです。入れ歯には、部分床義歯と全部床義歯があります。部分入れ歯の構造は、歯のなくなった粘膜部分をおおうピンク色の床とその上に人工歯、そして、残っている歯をつかむ金属のクラスプが基本的なパーツです。さらに、歯のない本数が多いと、床を大きく広げたり、バーという連結装置で反対側の歯につなげたりする必要があります。いずれにしても、初めて入れ歯をいれたときは、慣れるまで時間がかかります。しかも、作ったらすぐに痛みもなく、噛み合わせも良く使えるわけではなく、何度か歯科医院での調整が必要です。

図:スクラブ入れ歯

なぜ、合わない入れ歯に悩む方が多いのか?

私たちも、毎日の歯科診療の中で、多くの方が合わない入れ歯に悩んでいる状況を目にしています。
そして、歯科医師も、そうした患者さんの訴えにこたえるべく努力をしているのが実際なのですが、残念ながら、すべての方の入れ歯の悩みを解決できるわけではありません。なぜならならば、現在の保険制度の枠の中では、さまざまな制約があり、手間をかけてやらなければいけない部分を省略したり、入れ歯を支える仕組みが不十分なやり方でしかできなかったりするので、止むを得ないところもあるのです。また、部分入れ歯の金属クラスプは、残っている歯に大きな負担となります。 クラスプをかけた歯が次々と動揺し、抜歯になってしまう経験をした方も少なくありません。
その結果、作り直しとなった入れ歯は、一回り大きくなり、さらに残っている歯の負担が過剰になるのです。これでは、お先の人生、真っ暗です。

残っている歯の負担が少ない入れ歯

どうしても、そうしたクラスプタイプの入れ歯がうまくいかない方には、次の2種類の取り外し式の入れ歯をご紹介いたします。どちらも、クラスプが不要で外観に金属が見えないため、美観が良くなります。入れ歯の中では、ぐんを抜いて物が咬めて、使用感が良く、残っている歯を長持ちさせることができるのです。私の経験でも、秋田市に来て、初めてつくったコーヌスタイプの入れ歯は、17年以上たっても、いまだに快適に使われており、10年以上使っているケースはめずらしくありません。

図:コーヌスクローネタイプ
図:マグネットタイプ

想像以上にすばらしい第三の歯

それでも、取り外し式の入れ歯である以上、長期的に見ると、残っている歯に負担をかけ、動揺をさせ、失われる危険性をはらんでいます。そこで、もう一つの選択肢としておすすめできるのが、インプラントです。インプラントとは、顎の骨に埋め込む人工歯根のことです。インプラントを入れて固定式のかぶせ物(クラウンやブリッジ)をすることで、残っている歯の負担が少なくなるばかりではなく、まわりの歯周組織が強固になり、より長く残すことができるようになります。
もちろん、全部の歯がなくなった場合でもできます。

図:インプラントの長所
ただ、このインプラント治療は、相当な熟練が必要な治療方法ですし、患者さんとの十分なインフォームドコンセント(説明と同意)も必要となります。

人生を楽しむために

一般的に入れ歯と聞くだけでイヤなイメージを持ち、時には絶望的な悲観を抱く方もいるでしょう。
確かに、入れ歯の悩みを聞いてみると、適合が悪く、痛い、かめない、そしてはずれやすい。
よくこんな入れ歯を入れていたなあと思うことが少なくありません。
しかし、今回ご紹介したような方法で治療した結果、絶望のふちから復活し、心から人生を楽しむことができるようになった方がたくさんいるのです。