未来健康通信2025年7月号
【今月の特集】
『知りたい!根の治療』
歯の根の治療とは歯がどうなった時、どんなことをするのか、みなさんご存知ですか。虫歯などによって痛みが出たり、根の奥深くに細菌が入り込んで神経が膿んでしまったり、神経の通っている管(根管)の中が細菌で汚れてしまった時、歯を救うために行う治療です。根の治療は、重い炎症が起きてしまった歯を「なんとかして残し、使い続けたい!」と願う方のための治療なのです。
◆根の治療は難しい
大切な歯を残すため、針のような細い器具と消毒薬を使い、根気よく掃除をしていくのですが、これは、患者さんにとって楽な治療とは言えません。治療後に違和感が出たり、痛みが出ることもしばしばです。治療中はいつものように噛むことができず、食事が不便になることもあるかもしれません。
しかし実はこの治療、術者にとっても厳しく難しい治療です。多くの歯が真っ直ぐな根を持つと思いきや、そうではなく、中には根の形が曲がっていて神経が迷路のように枝分かれしていたり、管のなかが硬く石灰化し、掃除が困難だったりと、色々なケースがあります。様々な困難を伴う根の治療ですが、治療が成功したときのメリットはたいへん大きなものです。炎症を取り除いてかぶせ物をかぶせることで歯を保存することができ、その後も使い続けることができるのです。
◆根の治療は根気よく
根の治療を成功させるには、慎重に、ていねいに根の中を掃除して、歯の中に潜む細菌を極力減らさなければなりません。小さな歯の中の細い管(根管)をきれいに掃除するのはとても難しい処置で、しっかりときれいな根の状態にするには時間と回数がかかります。そのため、通常の虫歯の治療とはちがい、数回にわたって繰り返し通院していただくことが、治療を成功させるためには重要です。根の治療途中で中断してしまうと、状態が悪化することがありますので、根気よく継続して通院しましょう。
◆治療中の痛み
治療をしている期間は痛みが出ることもあり、強い痛み、ほとんど気にならないくらいの痛み、違和感程度の症状、など個人差があります。
このような痛みや違和感は珍しいことではなく、治療が上手くいっていても起こりうる症状です。症状や歯の状態によっては鎮痛剤を使用することもあります。歯科医院でもらった鎮痛剤は、「痛くなってきたな」「痛くなりそうだな」と思ったら、我慢せずに早めに飲みましょう。我慢できないような痛みでないならば、2~3日様子をみることをおすすめします。
痛みは数日〜1週間程度でおさまることがほとんどです。
根の治療をしてかぶせ物が入ったとしても、その歯がもう虫歯にならないわけではありません。かぶせ物を支えているのが、長く残したいご自分の大切な天然歯であることを忘れずに、定期的に歯科医院のメインテナンスに通い、普段から虫歯予防を心がけていきましょう!
【Drブログ】
Dr. 岩波 洋一
『物事を知らない自分を知る』
何歳からでも教養を身につけることは素晴らしいことですが、なかなか日常生活に取り入れるのが難しいのが現状です。最近、自分の中で興味や関心があるものとしては、植物の育て方、料理の基本などなど・・。その中の1つに世界情勢の内容を盛り込んだ地政学があります。ロシア・ウクライナ戦争をきっかけに多くの人が関心を持ちはじめているからでしょうか、最近様々な本が多く出版されています。そもそも私が興味を持つようになったのは、中東で起きていること、例えば、イスラエルとパレスチナ問題などニュースで解説されても内容がなかなか理解できなかったことがきっかけでした。歴史、人種、宗教、国々の関係など複雑に絡み合っている背景があり、書籍を通して読み解くと、ニュースがより面白くなりました。覚えては忘れての繰り返しですが、少しずつ理解し、身につけていきたいと思います。若い頃の自分ではあり得ない興味分野なので、それだけ自分も大人になったということにしている今日この頃です。
【そこが聞きたい!Q&A】
今月の担当 Dr. ふじた ひびく
Q. 舌みがきはしたほうがいいの?
A. 舌の表面には、剥がれた舌の上皮や食べカス、粘液、バクテリアなどがからみついています。これを舌苔(ぜったい)といいます。健康な舌は薄いピンク色ですが、舌苔がつくと白や黄色のもので覆われているように見えます。舌苔は口臭の原因にもなります。
舌苔のケアには、専用の舌ブラシを使うと効果的ですが、歯ブラシを使ってケアすることも可能です。舌を適度に湿らせ、舌の奥から手前に軽く、優しく撫でるようにブラシを動かします。ただし、何度も強い力で磨くと、舌の表面が傷ついてしまい、かえって舌の健康を損なうことがありますので注意が必要です。起床後1日1回を目安に行うと、就寝中に増殖した細菌を落とすことができ、口臭予防に最適です。
舌苔が心配な方や、舌ブラシの使い方を知りたい方は気軽にお声掛けください。