未来健康通信2025年12月号
【今月の特集】
『スポーツ用マウスガードとは?』
スポーツマウスガードは、競技中に発生する衝撃や食いしばりから、歯と顎を保護するためのアイテムです。
格闘技やラグビーのような身体的接触の多いスポーツでは、装着が義務付けられている場合もあります。近年では、義務ではない競技でも安全性や健康維持の観点から、使用が推奨される場合が多くなっています。

◇スポーツマウスガードの効果
①口腔内の怪我の予防・軽減
競技中に相手との接触で、歯が折れたり舌や唇、口腔内を傷つけてしまう怪我は予想以上に多く発生しています。スポーツマウスガードを装着することで、衝撃が吸収され、歯へのダメージが軽減されます。また、噛みしめによる奥歯の割れや欠け、すり減りから歯を守ります。
②外部からの衝撃を和らげる
接触プレーが多い競技では、顎や頸部に直接的な負担がかかる場面が少なくありません。スポーツマウスガードは、口腔内の怪我予防だけでなく、顎や頸部に加わる力を分散させ、ダメージを軽減する役割を果たします。
③運動パフォーマンスの向上
正しく歯を噛みしめることで、筋力が4〜6%程度アップし体幹も安定すると言われています。また、スポーツマウスガードを装着することで、口腔内の怪我の不安という心理的なストレスが1つ解放され、より積極的なプレーができパフォーマンスの向上が期待できます。
◇スポーツマウスガードの種類
〈市販のもの〉
インターネットや量販店で購入できます。お湯で柔らかくした素材を噛み合わせて形状を整える温熱形成方法が一般的です。手軽さが魅力ですが、適合性・効果・安全性に限界があり、衝撃吸収力がオーダーメイド製品に比べ劣ります。
〈オーダーメイドのもの〉
歯科医院で歯型を取って、噛み合わせを考えたマウスガードを製作します。
歯並びや顎の形に完全に適合するため、装着感がよく長時間使用しても快適です。素材の耐久性や適合性も高く、外部からの衝撃を効果的に吸収します。
スポーツマウスガードの装着効果を得るため、歯科医師の診査の上、オーダーメイドで作製することをおすすめします。
完成したマウスガードは、実際に装着して調整を行いフィット感や快適性を確認します。成長期のお子さんは歯並びが変化するため、定期的に作り替えや調整が必要となります。白、赤、青、黄色など色が数種類ありますので、何色のマウスガードを作製するか選ぶこともできます。スポーツをされている方、興味のある方はぜひお問い合わせください。
【Drブログ】
Dr. 藤田 響
『歯内療法のセミナーを受講してきました。』
先日、歯内療法のセミナーを受けるために仙台と東京へ行きました。仙台は東北大学に通っていた頃の思い出がある街です。住んでいた頃はあまり食べなかった牛タンを、今回はひとりで楽しんできました。秋田に住んでいるのに普段きりたんぽ鍋を食べないようなものと似ていて、名物というのは生活の一部になると逆に特別感が無くなるのかもしれません。
東京のセミナーでは、思わぬ出会いがありました。会場で、研修医時代の友人とばったり再会しました。秋田に住んでいる今は、歯科医の知り合いに会うことがないので、約4年ぶりに同期の顔を見ることができてとても嬉しかったです。そのまま一緒に夕ご飯を食べ、カフェでゆっくり話す時間をとりました。お互いの数年間の出来事を語り合えたのがとても良かったです。
その友人も現在、歯内療法を熱心に学んでいるところなのですが、身近に相談できる先生がいなかったり、学べる環境が整っていなかったりするようで、セミナーで必死に吸収しようとしている様子が印象的でした。それを考えると、当クリニックの院長が歯内療法のエキスパートで、そのもとで日々働かせていただいている環境のありがたさを改めて強く感じました。
【そこが聞きたい!Q&A】

今月の担当
Dr. やまだ まい
Q. 歯周病治療で糖尿病もよくなる?
A. よくなります。糖尿病は、インスリンというホルモンの分泌が減るために、血中の糖分(血糖値)が多くなる病気です。その結果さまざまな合併症を引き起こし、網膜症、腎症、神経障害、心筋梗塞、脳梗塞に次いで、6番目に多いのが歯周病です。歯周病が糖尿病を引き起こすわけではありませんが、糖尿病を悪化させることがわかっています。それは、歯周病によって発生した炎症性物質がインスリンの働きを妨げて、血糖値のコントロール力を狂わせるからです。一方、糖尿病も歯周病を悪化させます。糖尿病になると感染症に対する抵抗力が弱まるので、歯周病が進行しやすくなるのです。
糖尿病と歯周病はお互いに影響を及ぼしながら悪化していくのですが、その逆もあることがわかっています。糖尿病の患者さんに歯周病の治療をしたとたん、血糖コントロールがよくなることや、糖尿病の治療が進むにつれて歯周病が良くなるケースはたくさんあります。ともにいい方向に進めようと、歯科と内科が連携して治療する動きも進んでいます。








